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アパートを建て替えたい!立ち退きをスムーズに進めるためのポイントを解説

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長く賃貸アパートを経営されている大家さんや中古アパートを購入して賃貸住宅経営をスタートされた方が近い将来直面する問題の中でも、大きなものに「建て替え」があります。

今はまだ実感されていないとしても、年月の経過とともに建物が老朽化したり、周辺にライバル物件が増えて空室が増えたりなど、建て替えの検討が必要となる時が必ずやってきます。

しかし、そのアパートに入居者(賃借人)がいる場合には、まず賃借人に立ち退いてもらわないといけません。

現実問題として、賃貸借契約上、賃借人を簡単に立ち退かせることはできないので、立ち退き料や長期間の交渉が発生してしまう場合も少なくありません。

今回は、「立ち退き」対策を中心として、アパートの建て替えをスムーズに実現させる方法を解説していきます。

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1. 立ち退きを極力減らすためにできること

まずは、アパート建て替え計画を進める上で鍵となる、立ち退きを減らすためにできることをご紹介いたします。

立ち退き対応をできれば避けたいと希望されるアパート経営者は少なくありません。
なぜなら、立ち退きには少なからずお金や時間や労力が取られてしまうからです。

立ち退きは、空室率に反比例します。
アパートの建て替えを計画するのであれば、タイミングが重要です。空室率が5割以上になった段階で少しずつ検討を始めるとよいでしょう。

たとえ空室率が3~4割で経営が苦しく感じていて収益改善のため建て替えたいと思ったとしても、その段階で動き始めてしまうと、相手が多いため立ち退き料も多くかかり、交渉も難航する可能性があり、さらに経営者の首を絞める可能性もあります。

立ち退きを避ける、または減らすためにも、実際には空室率が8割くらいになった段階で本格的に動き始めるほうが無駄はありません。

また、空室率が5割以上になれば、その後無理に入居者を募集する必要はありません。
入居者が自然と減っていくことを待ち、残りの入居者が2割くらいになったところで立ち退き交渉を開始して本格的に建て替えを進めて行くとよいでしょう。

立ち退きを避けるためには、現在の入居者(賃借人)との契約を定期借家契約へ切替えて期間満了時に退去してもらうという方法もありますが、平成12年(2000年)3月1日以降に締結された賃貸借契約でないと普通借家契約から定期借家契約への切替えはできないため、昔からの居住者が多い場合には、実行が難しいかもしれません。

空室部分については、定期借家募集も検討してみても良いでしょう。

アパート建て替えの基礎知識については下記記事でもご紹介しております。
立ち退きも含め建て替えを進める上で必要となる知識を網羅しているので、ぜひ参考にしてみてください。

アパートの建て替えでおさえておきたい基礎知識を徹底解説!

2. 立ち退きには「交渉がつきもの」のなぜ

立ち退き「交渉」という言葉どおり、スムーズに建て替えるためにはアパート経営者と賃借人との間で交渉が必要です。

賃貸借契約の内容を踏まえ、「そもそもなぜ交渉が必要なのか?」という点を解説します。

2-1. 賃貸借契約とは?

建て替えに伴い「立ち退き交渉」が必要である主な理由は、賃貸借契約書の内容にあります。
なぜなら、賃貸借契約書は基本的に賃借人に有利な契約内容となっているためです。

立ち退きのポイントなどを解説する前に、まずはこの点について簡単に解説します。

(1) 借家人に有利な契約

賃貸借契約書は、借地借家法という法律に基づいています。
その借地借家法は賃借人有利な傾向がある法律のため、賃貸借契約書も賃借人に有利な内容になっているというわけです。

賃借人に不利益が生じる建て替えにおいて、立ち退き交渉が必要になります。

(2) なぜ借地借家法は賃借人に有利?

借地借家法が賃借人に有利な理由は、生活の拠点である部屋を「いきなり退去させられたら困る」からです。
次に借りる部屋や家が見つからない状態で立ち退きを迫られるのは、賃借人にとってリスクが大きすぎるので、賃借人保護の観点が強いというわけです。

具体的には、賃借人を退去させるときには、退去させるための正当事由が必要になります
正当な事由がない場合は、貸主が退去を命じても、原則、賃借人は従う義務はありません。

2-2. 契約を解除するのは難しい

賃借人を退去させるための正当事由について、たとえば「賃借人が家賃を滞納し続けている」「賃借人が建物を無断転貸している(契約・規約違反)」などが正当事由に該当します。

もちろん、貸主が賃借人に「退去しください」と通知して、そのまま賃借人が従うのであれば、正当事由がなくても退去は完了となります。

しかし、現実的にはそう簡単に退去させられないことが多く、立ち退き交渉が必要になるというわけです。
たとえ「老朽化による建て替え」が立ち退き原因だったとしても、老朽化の度合いによっては正当事由に当たらない場合もあります。

それほど、立ち退きのハードルは高いという点を、まずは理解しておいてください。

3. アパート建て替えにともなう立ち退き交渉のポイント

2章で解説したとおり、少しハードルが高い立ち退きですが、ここでは建て替えにともなう立ち退きの交渉をすると仮定して、事前に理解しておくべきポイントを解説します。

本章では、下記3つのポイントを解説します。

  • 立ち退き交渉の段取り
  • 立ち退き料の内訳
  • 引っ越し先のあっせん

3-1. 立ち退き交渉の段取り

立ち退き交渉に関して理解しておくべき1つ目のポイントは、立ち退き交渉の段取り(スケジュール)を知っておくということです。

賃借人と立ち退き交渉をするときには、まず私書を作成します。
その後、賃借人と立ち退き交渉をした後に、賃借人の引越し先の選定をするという流れです。

「引っ越し先の選定」の詳細については後述しますので、ここでは簡単な段取りを把握しておいてください。

なお、一連の立ち退き交渉は、後述する専門家に相談することが少なくありません。
そのため、以下の交渉の段取りは一例であり、専門家のサポートがあることを前提としています。

私書の作成

私書とは、「私人として作成した書面」のことで、覚書などで用意します。
「立ち退き理由」「立ち退き時期」「立ち退き料」などを明記した覚書などの私書を作成し、賃借人に対して送付します。

直接持っていったり、郵送したりと手段は色々とありますが、賃借人にこの内容で納得してもらえるのであれば、スムーズに立ち退きが完了できます。

立ち退き料の交渉

賃借人が立ち退き料などに納得しない場合には、一般的に賃借人と立ち退き料の交渉をします。
また、立ち退き料だけでなく、立ち退き時期などについても、合わせて交渉することになります。

この点が、立ち退き交渉において最も重要と言えるでしょう。

引越し先の選定

立ち退き交渉が難航する場合には、賃借人の要望に最大限応えることが有効です。
賃貸人は立ち退くことで住む家を追われるので、立ち退き料の中には引越し先の選定も含まれる場合があると知っておくと良いでしょう。

上記が立ち退きに関する一連の段取りですが、解決しない場合には裁判所の手続きにて解決をする場合もあります。その場合は、弁護士に相談するという流れが一般的です。

3-2. 立ち退き料の内訳

立ち退き交渉に関して理解しておくべき2つ目のポイントは、立ち退き料の内訳を理解しておくことです。
立ち退き料は、一般的に以下のような項目になります。ただし、以下に挙げるものは必ずしも必要となるものではありません。賃借人と話し合われる項目として、知っておくことが有効です。

① 引越しに関する費用

引越し先を見つける作業もありますし、引っ越し先の初期費用も立ち退き料に含まれる場合があります。

初期費用とは、引越し会社に支払う費用引っ越し先の敷金・礼金仲介手数料などです。
そのため、物件や仲介を依頼する賃貸会社によって金額は異なります。

② 入居者への補償料

入居者への補償料とは、「立ち退きをすることで入居者の生活が強制的に変わる」ことへの補償です。立ち退きをするということは、引っ越しの準備もありますし、住む場所も変わるので生活環境が変わります。

そのため、単に引越費用を支払うだけでなく、精神的な補償としての費用が発生する場合があります

この金額に相場はありませんが、家賃2~6か月程度が目安とも言われています。
物件や状況によるので、また裁判上で必要と決められているものではないため、あくまで目安と思っておいてください。

3-3. 引越し先のあっせん

立ち退き交渉に関して理解しておくべき3つ目のポイントは、賃借人の退去後の引っ越し先を見つけることです。これは、立ち退き交渉の中でも、場合によってはかなり重要な要素です。

(1) 引越し先を見つけることが重要な理由

引越し先を見つけることは、居住する物件の選定など、大きな手間がかかります。
基本的には賃借人の意見を聞きつつ物件を探すので、時間がかかります。

逆に「家賃の半年分」などと、金額さえ折り合えば完了する賃借人への保証料の方が、金額は大きいですが手間は少なくなります。

特に、建て替えに伴う立ち退きということは、建物が老朽化しているケースが多いものです。
賃借人も高齢化しており、自分で物件を選ぶことが困難なケースもあります。

(2) 引越し先を見つけることのポイント

引越し先を見つけることのポイントですが、とにかくスムーズに遅滞なく引越し先を案内することです。
引っ越し先を見つけることで時間がかかっていては、いつまで経っても立ち退きを完了させることはできません。

① 引越し先を見つけてきてあげること

まずは、引っ越し先は必ずオーナー側が見つけてくることです。上述したように、賃借人が高齢者の場合には、物件を探すこと自体が難しい場合もあります。

また高齢者ではなくても、「上限○○万円以内で引っ越し先物件の選定は(賃借人に)任せます」という状態にすると、いつまで経っても引越し先を探さないリスクもあるのです。

② 初期費用はなるべく抑える

また、物件を探すときには、仲介手数料・礼金・敷金などの初期費用はなるべく抑えてください
たとえば、賃貸管理も行っているA社が紹介する物件であれば、A社を賃貸仲介会社にすることで、仲介手数料や礼金がゼロになるケースがあります。

一方、B社経由でA社の管理物件を賃貸すると、B社の仲介手数料を支払う必要があるのです。
ただでさえ「立ち退き料」という安くない支出があるので、最低限の支出となるように工夫することも有効です。

③ 手続きや立ち合いも行う

たとえば、引越し会社の手配などの手続きや賃貸借契約の立ち合いなども行ってください。
これらも「引越し会社を手配していなかった」「契約に行かなかった」などのトラブルを防ぐために有効です。

特に、引越し費用は時期や引越し会社によっても全然違います。賃借人任せにすると、費用がオーナー負担になることから、大して検討もせずに引越し会社を選定し、高額の費用になる可能性があります。

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4. 立ち退き交渉の相談先

ここまでで立ち退き交渉では賃借人が有利であり、どのような立ち退き料が発生するかが理解いただけたかと思います。
最後に、立ち退き交渉を依頼する方法を解説します。先ほども触れましたが、立ち退き交渉は難航するケースが多いので、一般的には専門家に依頼するケースが多くなっています。

私書で立ち退きを通知し、立ち退き料などの交渉を受けた時点で、交渉は専門家に任せることをおすすめします。
ここでは、具体的にどのような人に交渉を任せるか、および依頼する前にどのような準備が必要かを解説していきます。

結論からいうと、立ち退き交渉を直接行えるのは、弁護士か貸主本人だけです。
なぜなら、立ち退き交渉は非弁行為にあたるからです。

でも、インターネットで立ち退きの相談先を検索するとコンサルティング会社もヒットします。
弁護士とコンサルティング会社は何が違うか考察します。

4-1. 弁護士

続いて、弁護士への依頼です。なぜ立ち退き交渉は貸主本人以外には弁護士しかできないかというと、弁護士法第72条で禁止している「法律事件」に該当するからです。

前項のように、報酬を受け取って立ち退き交渉すると、法律事件に該当するため、弁護士の資格を持っていないとできないというわけです。
弁護士に立ち退きを依頼すれば、立ち退きに関する全ての業務を行ってくれます。

ただし、コンサルティング会社の費用よりも弁護士費用は高額になります。
弁護士費用も弁護士事務所によりますが、着手金と報酬がそれぞれ数十万円ずつなどとなり、合計100万円を超えてしまうことも少なくありません。

4-2. コンサルティング会社など

不動産関係や建築関係の会社が、立ち退き相談を受けることがあります。上述のいわゆる「コンサルティング会社」です。
しかし、交渉は弁護士か貸主本人しかできないので、コンサルティング会社に依頼するときは「相談する」というイメージです。

つまり、コンサルティング会社がアドバイザーとなり、立ち退き交渉の進め方や交渉の仕方などを貸主本人が主導で行うということです。
まずは、物件・貸主ごとに立ち退き戦略を立案し、賃借人の転居先を探すなどもコンサルティング会社が行ってくれます

費用については、コンサルティング会社によって異なりますが、一例としては成功報酬として1案件10万円などです。
成功報酬の場合は、相談時に約束した状態にならなければ、費用は発生しません。

4-3. 依頼する前の準備

さて、次に弁護士やコンサルティング会社に依頼する前の準備を解説していきます。
依頼する前に目的を明確にして、立ち退き料の予算などを事前に確認しておかないと、コンサルティング会社に依頼するか弁護士に依頼するかの判断もできません。

(1) 立ち退き交渉の目的の明確化

立ち退き交渉の目的を明確にしてください。なぜなら、建て替え交渉するにあたり、「なぜ建て替えるか?」ということが非常に重要だからです。

たとえば、賃借人と交渉するときにも、当然ながら建て替え理由に納得できるかどうかにより、賃借人とのやりとりの難易度が変化します。

(2) 立ち退き料の予算決め

目的を明確にしたら、立ち退き料の予算を決めます。立ち退き料に相場金額はなく、家賃の4ヵ月~10ヵ月分などと言われることもありますが、立ち退き料に関しては状況により変化します。

その状況で立ち退き料の予算決めをするときは、参考までに以下のケースに分けて考えてください。

① 正当事由がある

仮に、耐震の問題などを加味して、建て替えによる立ち退きが正当事由であるとします。その場合は、そもそも立ち退き料は発生しないか、発生しても少額になるケースも稀にあります。

② 正当事由の必要性が低い

老朽化による建て替えであるものの、築年数や耐震性能的に建て替えの必要性が低い場合があります。その場合は、前項①よりは高額の立ち退き料が必要になるでしょう。

③ 正当事由がない

正当事由がない場合は、これまで解説してきたように、多額の立ち退き料を覚悟しなければいけません。

しかし、それはあくまで正当事由の補強要素に過ぎないため、賃借人が被る全てのマイナス要素を補償する必要はないのです。
つまり、交渉次第で立ち退き料は大きく変わるということです。

(3) 交渉は記録に残す

立ち退き交渉の初期段階である「私書を送る」という時点から、コンサルティング会社や弁護士に相談しても構いません。
もしも、私書を送った後の賃借人の反応によって依頼するか決めたい場合には、交渉の記録は必ず残しておいてください

私書を送付する場合は、できれば内容証明郵便や、少なくとも配達証明付きの郵便にするべきでしょう。

仮に、賃借人と話しあったのであれば、その議事録を作成し、保管しておいてください。
途中からコンサルティング会社や弁護士に依頼するケースもあると思うので、その際に必要な資料になります。

まとめ

このように、建て替えに関しての立ち退きでは、たとえ正当事由があっても賃借人がスムーズに退去しない場合は交渉が必要になります。

この交渉は非常に手間がかかるので、基本的には専門家に依頼した方が良いでしょう。
依頼する際の注意点や、依頼する前の準備を理解し、交渉の依頼先をしっかりと選定するようにしてください。

立ち退き対策を万全にして、理想のアパート建て替えをスムーズに実現させてください。


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